放物運動|水平投射の関係式の導出 | Vis-Tech
基礎物理

放物運動|水平投射の関係式の導出

基礎物理

 運動の法則の2次元運動への応用例として水平投射による放物運動を解説します。

1. 放物体の運動方程式

 空気の抵抗や浮力が無視できるときには、空中の質量\(m\)の物体に働く力は鉛直下向きの大きさが\(mg\)の重力だけです。したがって、鉛直上向きを\(y\)方向(下向きは\(-y\)方向)とし、\(x\)方向と\(z\)方向を水平方向とすると、この物体に働く力\(\bf{F}\)は
\[{\bf{F}}=(0,-mg,0) ・・・(1)\]
なので、ニュートンの運動方程式
\[m{\bf a}={\bf F},  m(a_x,a_y,a_z)=(0,-mg,0) ・・・(2)\]
の各成分は
\[ma_x=0, ma_y=mg, ma_z=0 ・・・(3)\]
となります。したがって、加速度\({\bf a}=(a_x,a_y,a_z)\)は
\[a_x=0, a_y =-g, a_z=0 ・・・(4)\]
となります。

 空中に放り出された物体の運動は、\(y\)方向(鉛直下向き)の重力加速度\(g\)の等加速運動と水平方向の加速度0の等速運動を重ね合わせたものになることがわかります。この事実を先ず水平投射の場合でも見てみましょう。

2. 水平投射のモデルと関係式

  図の様に机の上のボールを弾き出して落下させます。比較として自由落下させた場合のボールも記載しています。2つのボールの高さは常に同じなので、弾き出されたボールの鉛直方向の運動は自由落下と同じである事がわかります。この事実は、式(3)の第2式の\(ma_y=-mg\)は質量\(m\)の物体の重力\(-mg\)による自由落下の場合の運動方程式であり、式(4)の第2式の\(a_y=-g\)は物体の鉛直下方向(\(-y\)方向)への加速度が重力加速度\(g\)であることを示していることからも明らかです。

 ボールの水平方向の運動は等速運動です。空中では水平方向成分をもつ力は作用していないので、ボールの水平方向の加速度は0であるためです。※仮に空気抵抗のような力の作用を考慮するとボールは減速することになります。

 ボールが机から離れるところを原点\(O\)に選び、ボールの投射方向を\(+x\)方向とし、ボールが机を離れてからの時間を\(t\)とすると、ボールの水平方向(\(x\)方向)の運動は速さ\(v_0\)の等速運動なので
\[x=v_0t ・・・(5)\]
 ボールの鉛直方向の運動は自由落下運動(重力加速度\(g\)での等加速度運動)なので、\(v_y=-gt\)を時間で積分すると
\[y=-\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}gt^2 ・・・(6)\]
であることがわかります。
 式(5)に式(6)を代入すると、次の関係
\[y=-\frac{\displaystyle gx^2}{\displaystyle 2v_0^2} ・・・(7)\]
が得られます。

 

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