油圧|パスカルの原理を基に仕組みを解説 | Vis-Tech
基礎物理

油圧による倍力装置|パスカルの原理を基に仕組みを解説

基礎物理

 ショベルカーやブルドーザなど様々な物に”油圧”による倍力装置が備わっています。倍力装置とは、小さな力にも関わらず大きな力を発揮する装置です。今回、その原理について解説します。

基本原理と応用

基本原理

 密閉した容器の中で静止している液体(あるいは気体)の1点の圧力を大きくすると、液体中のあらゆる部分の圧力は同じだけ大きくなります。これをパスカルの原理と言います。

応用

① 力のつり合い

 パスカルの原理は身の回りにある様々な機械に利用されています。ここでは次の図の様な重たい石を持ち上げるシーンを事例にした油圧機械について解説します。

 面積\(A_1\)の小さい方を\(F\)の力で押すと、液体の圧力は\(F/A_1\)の量だけ増加します。したがって、面積\(A_2\)の方の圧力の方には
\[
F_2=F_1\times \frac{\displaystyle A_2}{\displaystyle A_1}
\]
だけ力が加わります。つまり、この面積の比率\(A_2/A_1\)を大きくすればするほど、より大きな力を発揮することができます。

② 仕事量の保存

 ここで、石を持ち上げた距離を\(x_2\)とすると、仕事量\(W=F\times x\)が保存されなければならないため、次のような関係式が得られます。
\[
F_2 \times x_2 = F_1 \times x_1
\]
したがって
\[
x_1 = x_2\frac{\displaystyle F_2}{\displaystyle F_1}
\]
となり、力を増幅した比率分\(F_2/F_1\)だけ、押し込む量を増やさなければなりません。

油圧機械の事例

 身近な事例を紹介します。ブルドーザーやショベルカーなど、次の図の矢印で示したところに”シリンダー”と”ピストン”から成る油圧装置が使われています。

 ここには”シリンダー”と”ピストン”から成る油圧装置が使われており、最初の説明の絵に照らし合わせると次の図の様になります。実物のピストンは長いので、ちょっと表現を変えてみました。

油が漏れないようにするためにピストンとシリンダーと密着させる必要があるため、ピストンの表面は滑らかな表面になっており、銀色に輝いて見えるものがほとんどです。ここに着目すれば身近な油圧装置を見つけられると思います。

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