ニュートンの運動の第一法則|慣性の法則 | Vis-Tech
基礎物理

ニュートンの運動の第一法則|慣性の法則

基礎物理

1. ニュートンの運動の第一法則とは

 運動の第一法則は次のように定義されています。

 すべての物体は外部からの力の作用を受けなければ、あるいは、外部からいくつかの力が作用してもその合力が0ならば、一定の運動状態を保ち続ける。すなわち、静止している物体は静止している物体は静止の状態をつづけ、運動している物体は等速直線運動を続ける。

2. 直感的な理解

 地面の上の物を押す姿を想像してください。物体を水平な面の上で移動させつづけているときに腕の筋力を及ぼさなければなりません。これは、物体の移動を妨げる向きに摩擦力が働くからです。机の面の及ぼす摩擦力の他に空気の抵抗力も働きます。物体を押すのをやめると、地面の摩擦力や空気の抵抗力のために物体は減速して静止します。

 物体を台車にのせた場合には摩擦力が小さいので、物体を押すのをやめても減速の割合は小さく、台車は停止するまでにかなりの距離を移動します。

これらの事実は、運動している物体が停止するのは、運動している物体には物体を停止させようとする力が働くためであることを示しています。これらの抵抗する力と同じ分、後ろから押すことで等速直線運動をすることになります。

3. 等速直線運動の身近な事例

 いくつかの力が作用して合力が0なので等速直線運動を続ける事例として、空気中を落下する雨滴やスカイダイバーがあります。

 他にも、自動車には運動を妨げる向きに路面の摩擦力と空気の抵抗力、駆動輪に運動を推進する向きに路面の摩擦力が作用しています。自動車が等速直線運動をしている場合には、この自動車に作用する外力の合力は0であることを運動の第一法則は意味しています。

 力が作用しなくても物体が運動しつづけることは、古くから知られていました。弓で矢を放ったり、石を投げる場合です。矢や石は弦の弾力や腕の筋力で運動し始めますが、弦や手を離れて力が作用しなくなっても運動し続けます。昔の学者はこれを見て、運動している物体はその運動を持続しようとする性質を持つと考え、この性質を慣性と名付けたのです。

 ニュートンは、矢や石だけでなく、全ての物体に慣性があると、慣性の法則を提唱しました。

 路面が凍った道路で自動車がブレーキをかけても滑って止まらないことは慣性のせいなのです。

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