1. ニュートンの運動の第三法則とは
ニュートンの運動の第三法則は次のように定義されています。
作用と反作用は、たがいに逆向きで、大きさが等しい。
作用反作用の法則は、2つの物体が静止していても、運動していても成り立ちます。また、2つの物体の質量が同じでも違っても成り立ちます。
物体\(A\)が物体\(B\)に及ぼす力を\(A_{B←A}\)、物体\(B\)が物体\(A\)に及ぼす力を\(A_{A←B}\)と記すと、作用反作用の法則は
\[{\bf F}_{B←A}=-{\bf F}_{A←B}\]
と表されます。
※太字はベクトル(方向と大きさ)を表します
2. 直感的理解
次のような様々な身近な例があります。
- 地面に置いてある荷物を持ち上げるとき、手は荷物に引っ張られます。
- 人がベッドのマットレスの上に立つと、マットレスはへこみますが、へこんだマットレスは人を押し返します。
- ボートに乗ってオールで岸を押すと、岸はオールを押し返すので、ボートは岸から離れていきます。
- ボートのオールを漕ぐと、オールが水を後方へ押すので、水はオールを前方に押し返し、ボートは前進します。
このように力は2つの物体に間に働きます。一般に、2つの物体がたがいに力を及ぼし合う時、一方の力を作用、もう一方の力を反作用といいます。どちらの力を作用といっても構いません。
3. 力のつり合いと作用反作用の違い
1つの物体が2つの力\({\bf F}_1\)と\({\bf F}_2\)を受けて静止しているとき、この2つの力はつり合っているので向きは反対で大きさは等しくなります(\({\bf F}_1=-{\bf F}_2\))。
これに対して、作用と反作用:\({\bf F}_{B←A}\)と\({\bf F}_{A←B}\)は向きは反対で等しい:\({\bf F}_{B←A}=-{\bf F}_{A←B}\)ですが、2つの物体同士が及ぼし合う力なので、力のつり合いとはまったく意味が異なります。
次の図のように水平な床の上に物体が静止していると考えてください。物体には、地球の重力\({\bf W\})と床の抗力\({\bf N=F}\)(物←床)が作用しているので、力のつり合いから
\[{\bf W}+{\bf N}=0
\]
という関係が導かれます。物体と床を考えると、床は物体に抗力\({\bf N=F}\)(物←床)を作用しますが、物体には床に力\({\bf F}\)(床←物)を作用します。
力が釣り合っているため物体が静止しています。物体を加速させる重力(重力加速度)に対して何らかの反対の力(床による抗力)が働いているので、物体が加速しないのです。
一方で、この抗力受けている部分(物体と床の接触面)に作用反作用が発生しているのです。