なぜスピンサーブは高く跳ねるのか?|ヒントはカーブボール | Vis-Tech
流体力学

なぜスピンサーブは高く跳ねるのか?|ヒントはカーブボール

流体力学

 スピンサーブやドライブ回転のかかったボールは高く跳ねます。よくある解説で「高い所から落ちてくるからよく跳ねる」とありますが、これだとメカニズムの半分も説明できていません。きちんと理解するには流体力学の知識が必要ですが、ここでは高校物理のレベルで分かるように解説します。

1. 高く跳ねるのは地面に向かって勢いよくぶつかるから

 次の図をご覧ください。ボールを地面に向かって自由落下させた場合と手で投げつける場合では、どちらの方が高く跳ねるのでしょうか?

答えは、手で投げつけた方ですね。ではなぜ手で投げつけた方が高く跳ねるのかと言うと、ボールに「手で押すという”外力が加わって加速”」することで地面に衝突する時の速度が大きいからです。

ここまでは物理というよりも、日常の経験からくる感覚で理解できると思います。ポイントとなるのは、外力が加わっている事です。

2. スピンサーブやドライブ回転における外力

 ボールに回転がかかるとカーブしたりするのは、球技をされている方は理解されていると思います。なお、そのメカニズムについては次の記事で解説しているためここでは割愛します。「ボールに回転がかかるとある方向に力が加わり、ボールが加速する」ことだけ知っておいてください。

スピンサーブやドライブ回転では、マグヌス効果により地面に向かう方向に加速します。ここで、地面に衝突する時の速度は大きく以下の2つの考え方で決まります。

(1)大きい力(加速度)が加わる

 マグヌス効果による加速度は、「回転速度」「進行方向への速度」に比例します。カーブをイメージしてください。回転速度が大きいほどボールが曲がるのは感覚と合うと思います。さらに、ボールが曲がる量が進行方向への速度にも依存するという事は、球速が速いほどボールが曲がるという事を意味します。つまり、スピンサーブで落ちる(高く跳ねる)ボールを打ちたいときは、単に回転させるだけでなく厚い当たりによる球速も重要な要素なのです。

(2)力が加わる時間(あるいは距離)が長い

 マグヌス効果は”力”です。物体に力が加わるという事は加速しています。つまり、ボールは地面に衝突するまで加速し続けている(力が加わり続けている)のです。よって、力が加わる時間あるいは距離が長いほどボールの速度は大きくなります。したがって、スピンサーブでは地面に到達するまでの時間(距離)が大きい、すなわち弾道が高いほどボールは加速する時間を得られるのです。

弾道を高くしすぎるとサービスラインを越えてフォルトになりかねないため、球速とのバランスが大事ですね。

3. まとめ

 スピンサーブやドライブ回転のかかったボールが大きく跳ねるポイントは次の3つです。

  • 回転がかかることで地面に向かう方向に加速している
  • 回転速度や進行方向への速度が大きいほど、加速度は大きくなる
  • 弾道が高いほど地面にぶつかるまでの距離すなわち加速する時間が長くなり、地面に向かう方向の速度が大きくなる
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