流速を予測するために使う質量保存の法則(連続の式)を高校物理レベルで解釈し、わかりやすく導出の過程を解説します。
質量保存式の導出
流体は空間を満たす連続体なので個体のような塊で取り扱えません。なので、勝手に細かーく区切ってあげます。この区切りを「検査面」や「検査体積」と言います。物理学で言う所の「微小領域を考える」ことになります。
はい、区切ってみました。この検査面1と検査面2を通過する質量は一緒です、と言うのが質量保存則です。流体なので空気と言う物質は流れています。そこで「単位時間当たり(1秒毎)の質量の通過量」を表現するために「質量流量[kg/s]」と定義されます。ここでは質量流量を\(G\)と表現する事にします。
では質量流量Gをもう少し分解します。
\[G=ρvA ・・・(1)\]
\(ρ\)は密度[kg/m3]、\(v\)は流速[m/s]、\(A\)は検査面の面積[m2]を表します。たぶん、初めて見た方は何のこっちゃですよね。かみ砕いて表現します。ベースの考え方は「\(密度\times体積=質量\)」です。
「ところてん」の製造をイメージしてみよう!
このイメージが流体力学における質量保存を理解するコツなんです。ところてんを作る時って、型に入れて後ろからにゅ~っと押し出しますよね。これです。「検査面」というところてんの型の穴から、「一秒間だけ長さ\(x\)」押し出すんです。その時の空気(ところてん)の体積\([m^{3}\)]は\(A[m^2]\times x[m] \)です。ほら体積になりました。一秒間あたりの長さなので\(A[m^2]\times v[m/sec]\)と置き換えてみます。これを体積流量\([m^3/s]\)と呼びます。
もうわかりましたね。検査面を単位時間あたりに通過する質量、これが質量流用であり、一次元を考えると(管とかがイメージしやすいですね)どこの断面で切っても一緒なんです。改めて数式にすると
\[G=ρ_{1} v_{1}A_{1}=ρ_{2}v_{2}A_{2} = 一定 ・・・(2)\]
となります。これを微分方程式にすると
\[\frac{d}{dx}(ρvA)=0 ・・・(3)\]
一階微分は()の中の傾きを表します。つまり、x方向の距離によって()の中身の傾きが0、つまり変化しませんという事です。
ここで、密度\(ρ\)は圧縮性を考慮する場合は、圧力と温度によって変わります。つまり、運動量保存とエネルギー保存を解くことで求められるんですけど、亜音速のような高速の流れや外から熱でも加わらない限りは気にせずに密度を一定値で考えて良いです。
ちなみに、流体力学において連続の方程式(連続の式)とも呼びます。連続が意味するところは、「ところてん」がイメージできていればもうお分かりだと思います。
質量保存式の応用
冒頭で「風(空気の流れ)の速さを知るためによく使われます」と説明しました。なので「流速=」の形ににすればよいんです。
\[v=\frac{G}{ρA} ・・・(4)\]
例えば、どこかで風の速度(流速)を測定しておけば質量流量がわかります。そうすれば、別の場所の風の速度(流速)を予測することができます。
まとめ
流体力学の質量保存の法則(連続の方程式)のキーワードは「ところてん」です♪