伝熱工学

伝熱|沸騰現象とは何か?

伝熱工学

 液体が期待に変化する現象を一般に蒸発(Evaporation)と呼びます。この蒸発のうち、とくに液中で蒸発が生じる現象を沸騰(Boiling)と称します。この沸騰現象は、なべややかんでお湯を沸かす場合など、我々のごく身近で見られる現象であり、沸騰のメカニズムは意外に複雑です。

沸騰現象は次の2つに分類されます。

  • 均質核生成(Homogeneous Nucleation):液中から直接沸騰が生じる
  • 不均質沸騰(Inhomogeneous Nucleation):液中に含まれるごみや粒子、容器の壁から沸騰が生じる

私たちが普段目にする沸騰現象の大部分は”不均質沸騰”です。

均質核生成は、液分子の熱的ゆらぎによる蒸気相分子の発生・集合によって、気泡が液中に直接生じる現象であり、その発生頻度\(\gamma[1/cm^3\cdot s]\)は次のように表されます。

\(
\gamma \propto N \cdot exp \left[ \frac{\displaystyle 16 \pi \sigma_l^3}{\displaystyle 3 k T_l (p_{ve}-p_l)^2} \right] ・・・(1)
\)

ここで、\(N\)は液相分子の数密度\(\left[ =\frac{\displaystyle N_A}{\displaystyle m_{H_2 O}\cdot \rho H_2 O} \right] [1/cm^3] \)
\(N_A:アボガドロ数=6.022\times 10^3 [1/mol] \\
m_{H_2 O}:水の分子量=18.02 [g/mol] \\
\rho_{H_2O}=水の密度 [m/cm^3] \\
\sigma_l:液相の表面張力 \\
k:ボルツマン定数=1.38\times 10^{-23} [J/K] \\
T:水の温度 [K] \\
p_{ve}:平均蒸気圧 [pa] \\
p_l:水の圧力 [Pa] \\
\)

大気圧下の加熱水について、発生頻度\(\gamma\)を上式から計算してみると、以下の様になります。

\(\gamma_{560K} < 10^{-100}、\gamma_{580K} < 3、\gamma_{600K} < 7.43\times 10^{18} [1/cm^3 \cdot s]\)

水温が\(580K(307℃)\)を越えたあたりから、急激に核生成が活発になります。

現実の沸騰は、数K程度の低い過熱度で生じています。これは、不均質核生成(固体表面からの沸騰)によるものです。例えば、固体の表面に小さな傷や穴があって、ここに予め気体が存在し、これに向かって蒸気が生じます。

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