エアコンの効率的な使い方、それは人を効率よく暖めることになりますので、自ずと省エネになってきます。
皆さんは暖房の風向について考えられたことはありますか?冬に管理人の妻の実家に行くとまずやる事、それはルームエアコンの風向を「下向き」にする、です。
義理の両親は乾いた温風が当たるのを避けるためか、いつも上向きで部屋が寒いんです。どんなに設定温度を上げても部屋が暖まらないんですね。今日は、風の流れをイメージして、なぜ暖房時は下向きが快適なのかを解説していきます。
風の流れの出発点
エアコンにせよ、扇風機にせよ、「風はどこから吸い込まれてどこから吹き出されているか」を確認する事から始まります。次のイラストを見てください。
上から吸い込まれて、下から吹出しますね。巡り巡ってこれが繋がることになります。
吹出し方向と循環
では、吹出し口が水平に近い場合にどうなるかを次のイラストを見てください。
はい、こうなります。
最初は少し下向きに飛び出して行きますが、やがて天井に向かっていきます。
こうなると、天井付近ばかり温まって、下の方は寒いままになっちゃいます。
では、下向きに吹出してみましょう。
今度は床まで届きました。更に、遠くまで届くようになりましたね。水泳の飛び込みを
イメージしてみてください。潜りが浅いとすぐに水面に出てしまいます。深い方が潜っている距離が長いですよね。
重たい空気と軽い空気
エアコンの風の流れに加えて、もう一つエッセンスを加えましょう。「浮力」です。プールよりも海水の方が人の体って水に浮きやすいですね?理由は簡単、真水より海水の方が重いからです。
ここで、エアコンの話に戻ると、登場人物はざっくり2人います。ここでエアコンから吹出す「温かい空気」と、室内の「冷たい空気」です。重さを比較すると
温かい空気(軽い) < 冷たい空気(重い)
となります。例えば、水泳で勢いよく飛び込んでも人の体ってやがて浮いてきます、そういうメカニズムです。
では、先ず水平吹出しから確認してみましょう。
軽い空気は浮力で浮いたままなので、混ざらないんです。ずーっと天井付近が暖められるだけで、人がいる床付近は冷たいままですね。
では、下向きに吹出すと、
しっかりとエアコンの風が部屋の隅まで行き届いた状態でも、どちらかと言うと天井付近の空気の方が床付近よりも冷たいですよね。この時、エアコンの吹出しの風とは関係なく、浮力によって上下に風が流れ、室内の空気がしっかりと混ざるようになります。
まとめ
以上の考え方で、暖房時の風向を「下向き」にして部屋がぽかぽか、快適になります♪
さて、上記の説明の中には「設定温度」の話が登場しませんでした。これは、快適な風流れを作った上で、個人の感じ方で調整してもらえたらと思います。
なお、流体力学において、浮力による流れを「自然対流」、エアコンのファンの様な流れを「強制対流」と言います。自然対流を侮るなかれ、台風の発生原理はこれです。海水の温度が高く、上空の気温が低いと風が吹くさまはもうイメージがわくと思います。