MAシャーシにサスペンションを組み込むべく、トレーリングアーム式サスペンション(通称;トレサス)を製作します。全3回のうち、今回は第2回としてMAシャーシの加工方法を解説します。
なお、必要な物品は第1回にまとめて記載していますので、そちらをご覧ください。
1. サスアームの組付けとガタの抑制
シャーシにサスアームを組み付けると、サスアームとシャーシの軸受け部に隙間が生じてガタツキが生じます。これを抑制するために次の様にアルミスペーサやプレートワッシャーを挟んで隙間を調整します。調整量は加工精度にもよると思いますので、次の写真の私の事例は目安としてください。最終的な0.1mm単位の微調整はロックナットの締め付け量で実施します。
02. リアサスアームの初期位置の調整
サスアームの初期位置は、サスアームとシャーシが接触して決まります。フロント側は成り行きで標準の位置でほぼ決まると思います。リア側は若干上側、つまりタイヤの位置が標準位置に対してシャーシ上方になることで、リア側のロードクリアランスが小さくなってしまうと思います。これを調整するために、シャーシを現物合わせで追加工します。
追加工は、次の写真の様にΦ6mm程度のドリルを手作業で少しずつ実施します。都度、ロードクリアランスを確認しながら加工してください。くれぐれも、電動ドライバーを使って削りすぎな様にしてください。
3. リンクの組み立て
シャフトにアジャスター(ピローボールに組付くグレーの部品)、メタル軸受け、バネなどを組み付けます。
4. Aパーツとサスアームの干渉調整
Aパーツの電池カバーとモーターカバーはそれぞれ前後のサスアームと干渉します。この干渉部をサスアームに対してゼロタッチよりほんの少し当たる程度に残してデザインナイフ等で慎重にそぎ落としてください。当たっている状態が望ましいのです。
なぜなら、サスアームはカウンターギアのシャフト部で固定されているものの、そこには隙間があるためどうしてもガタついてしまいます。それにより、サスアームが左右に振れてしまいます。サスアームが左右にふらつくと直進安定性が損なわれたり、コーナーでの抵抗になってしまいます。
精度の良いトレーリングアーム式サスペンションの最後のポイントになります。MAシャーシの高剛性を活かすため、しっかり慎重に調整しましょう。
4. 完成
以上で次の写真の様に組みあがると思います。
このままだと着地時にバネの反動で跳ねてしまうため、ダンパー(減衰)機能を持たせるためにスライドダンパー用のグリスをシャフトに塗布します。
改造する時にどうしてもサスペンションを外す必要がありその際にグリスがべたついてしまいますので、グリスの塗布は他の改造を一通り終えてからが良いと思います。
最後に私が採用したボデーを紹介します。サスアームに干渉する部分を加工する必要がありますので、加工後にデザインと親和性の高そうで、かつ、私好みでもあったアバンテネロです。
以上でMAシャーシへのトレサスの組み込みが完了です。フレキ全盛の今、サスペンションは速さを求めるのであれば不要だと思います。しかし、ただ速さを追求するのではなく、メカニカルな機構をミニ四駆でも再現できる事に少しでも楽しさを感じていただけましたら幸いです。
参考. MA用トレサスの製作に必要な買入品
今回使用した部品や工具は次の物になります。
- スーパーXシャーシ・FRPマルチプレート・・・1セット
- スーパーXシャーシ・FRPリヤローラーステー・・・1セット
- FRPワイドプレートセット・・・1セット
このうちプラベアリング(白い樹脂のリング)を1個だけ使います
- 六角マウントセット (10mm/15mm)・・・1セット
このうち15㎜の六角マウントを1個だけ使います
- ボールリンクマスダンパー (スクエア) ・・・1セット
このうちアジャスター(グレーの樹脂の部品)およびピローボール(金属のボール状の頭のついたネジ)をそれぞれ3個使います。
- スタビヘッドセット・・・2セット
このうちシャフトのみ3個使います。
- スライドダンパースプリングセット・・・1セット
このうち黒いばねを3つ使います。
- メタル軸受けセット・・・1セット
このうち3つ使います。
- アルミシャフトストッパー・・・1セット
このうち2個使います
- アルミスペーサーセット・・・1セット
このうち1.5㎜のスペーサーを4つ使います