自動車技術

図解|フィルターで微粒子を捕捉する原理

自動車技術

 粒子より目の細かい網でひっかけているわけではなく、粒子よりも大きな網目で捕集しています。カーエアコンのフィルターを事例にそのメカニズムを解説します。

1. 空気清浄化の概要

 空気の浄化には次の物質が対象となります。

  • 空気中に浮遊している花粉、ディーゼル排気煙、たばこの煙などの固体状または液体状の粒子
  • ディーゼル車追従走行時や工場周辺走行時に感じる悪臭ガス
  • カビ菌などのように空気中に浮遊する微生物

 PM2.5の様な微粒子は上記の一つ目に含まれます。自動車は移動体なので外気から室内に様々な物質が入ってきます。その種類は非常に多い為、対応技術も様々です。ここでは、粒子の除去技術、臭気および有害ガスの除去技術について解説します。

2. 除塵技術

 車室内を汚染する粉塵は、「外気から入ってくる粉塵」と「車室内で発生する粉塵」があります。外気から入ってくる粉塵は、花粉やディーゼル排気中の黒煙などです。車室内で発生する粉塵は、ほこりやたばこの煙などです。これらの粉塵の種類や粒子径は次の図の通りで、その対象粒子によって、対応技術も異なります。

 自動車用の場合、搭載上の制約と対象粒子の大きさから主に電気集塵法もしくはろ過法が用いられます。

(1) 電気集塵法

 放電の際に生じる加速イオンにより、気流中の粉塵、タバコの煙などの粉塵に電荷を与えて電気的に捕捉する方式です。この方式はサブミクロン~数ミクロンの微細な粒子に対して有効です。また、圧力損失も小さいメリットはありますが、高電圧を使うことによる安全性とコストの面でデメリットがあります。

(2) ろ過法

 ポリエチレン繊維などの合成繊維で構成される不織布でろ過する方式です。ほこりなどの大きな塵はフィルタの構成繊維の隙間で引っ掛けて補足します。花粉などの小さな粒子は、粒子と繊維との間に働く分子間力(ファンデルワールス力)によって捕捉されます。

(3) 電気的捕捉

 大気浮遊粉塵はマイナスに帯電していることを利用し、繊維を帯電化させて電気的な力で吸引する方法です。これは、繊維間距離が広くても、高い集塵効果が期待できます。この考え方でエレクトレット繊維といわれる荷電された繊維が開発されました。
 ポリプロピレンのような誘電体材料でできている不織布のシートは高電圧にさらすことによって分極し、繊維表面がプラス、マイナスに荷電されます。このようにして製造される不織布は通風抵抗が低く、高い除塵効率が得られるため、現在多く使われています。

(3) ガスの除去技術

 ガスの除去には、「脱臭」と「有害ガスの除去」のそれぞれの目的があります。

 脱臭はその臭気ガスを感じさせなければよいので、次の4つの方法があります。
① 感覚的消臭:
 香料によるマスキング、消臭剤による臭気の低減
② 化学脱臭:
 オゾンなどによる酸化作用で臭気強度の弱いガスに変換
③ 吸着:
 活性炭、ゼオライトなどによる臭気ガスの吸着除去
④ 生物脱臭:
 土壌細菌による分解で臭気の弱いガスに変換

 車載用には吸着式を用いられる例が多く、吸着材には活性炭がよく採用されています。

3. 終わりに

 PM2.5を捕捉するエアコンフィルターは、実は目が細かいだけではないんですね。また、最近の車は半年もしないうちに「新車のにおい」がしなくなりますが、それはエアコンフィルターに活性炭のような吸着剤が採用されている事があるからなんです。

 

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